2013年3月 サイドコア開催情報

サイドコア第2回開催が決定いたしましたので、
ご紹介させていただきます。
詳細は以下の通りになっております。



______________________________

「サイドコア -身体/媒体/グラフィティ-」


2012年8月、有志の若手アーティストたちによって構成された自主企画展
《サイドコア‐日本美術と「ストリートの感性‐」》は、ストリートの文化(カルチャー)
に深く感化され、その影響を独自に消化した日本の新しい美術表現にハイライトを当てる
意欲的な試みでした。 2013年3月に開催する《サイドコア‐身体/媒体/グラフィティ‐》
では、身体とメディアの関係に意識的なアーティストたちの作品を、
グラフィティと美術の間に揺らぐ稜線上に展示します。 高度に拡大し変移する情報環境
の発展が、身体と媒体(メディア)の関係を曖昧模糊としている現在、私たちは、身体の痕跡
が媒体(メディア)に現れるグラフィティの「能動性」や「儚さ」に注目します。
美術がシンボリックで私的な空間より、人々の相互作用や社会的文脈の領域へ*向かう傾向
がある今、アノニマスな現象のうちに美術の関心を見いださざるをえないからです。  
「サイドコア‐身体/媒体/グラフィティ‐」では、それぞれのアーティストがどのように
媒体(メディア)に関わり彼らの身体性を発揮させていくのか。アーティスト、鑑賞者、
それぞれのまなざしが交錯し新たな遭遇のための場を生み出します。
(サイドコア運営チーム)

* ニコラ・ブリオ「関係性の美学」(Nicolas Bourriaud “ Relational Aesthetics”)より

■ 名称 : サイドコア‐身体/媒体/グラフィティ‐
■ 開催日時 : 2013年3月23日(土) - 4月21日(日)
( 毎週 月・火・水 及び29日(木)休廊 )
■ 会場時間 : 12:00-19:00
■ オープニングレセプション : 3月22日(金) 18:00-22:00
■ アーティスト : EYE/日比野克彦 HIBINO Katsuhiko/菊地良太 KIKUCHI Ryota
/松原滋 MATSUBARA Megumi/松岡亮 MATSUOKA Ryo
/ 松下徹 MATSUSHITA Tohru/ 大山エンリコイサム OYAMA Enrico Isamu Letter
/QP/竹内公太 TAKEUCHI Kota
■ 写真提供 : MIYUKI PEI HIRAI
■ 会期中トークイベント: 2013年4月14日(日)16:30- ゲスト 宮津大輔 氏(コレクター)
■ 会場 :Terratoria /〒140-8615 東京都品川区東品川2-6-10  寺田倉庫株式会社 2階 
□ Web : http://sidecore.net/
□ 主催 : サイドコア運営チーム(代表 高須咲恵/キュレーター 荏開津広
/コーディネーター 長内綾子 松下徹/スーパーバイザー 河内晋平)
□ 協力 :寺田倉庫株式会社/ STUDIO SHIKUMI inc./URBAN FORCE Inc. / Blijven 
□ 協賛 :(株)ハイパーインターネッツ / STUDIO SHIKUMI inc.
□ グラフィックデザイン : 藤元明 
□ タイポグラフ : 今村圭佑
□ 翻訳 : 田村かのこ

展覧会情報

















■ 名称 : サイドコア - 日本美術と「ストリートの感性」-

■ 展示アーティスト : 日比野克彦|松岡亮|藤元明|鈴木ヒラク|小畑多丘|石井亨|
                                       菊地良太井上純|大山エンリコイサム|村山悟郎|松下徹|小室貴裕

■ 開催日時 : 2012817()19()

■ 会場時間 : 12001900

■ オープニングレセプション :  817() 19:00-21:00

■ 会場 : 東京都渋谷区神宮前 5115 B1F  BATSU ART GALLERY 
                    http://www.ba-tsuartgallery.com

□ 主催 : サイドコア運営チーム(代表:高須咲恵)

□ 協賛 : (株)ハイパーインターネッツ / (株) STUDIO SHIKUMI INC.   

□ 協力 : BATSUARTGALLERY / urbanforce株式会社 / Blijven

□ グラフィックデザイン : 藤元明

□ タイポグラフ : 今村圭佑                                                
□ テキスト : 大山エンリコイサム

□ 資料提供 : CHINO / アオピー

サイドコア――ポストモダン以降の日本美術と「ストリートの感性」

日本の現代文化は、しばしば80年代にその素地が準備されたと言われます。東京ディズニーランドの開園、任天堂ファミリーコンピュータの発売、糸井重里に代表される広告的想像力の台頭、ニューアカデミズムによる知の大衆化、新人類と呼ばれる新しい若者たちの出現――バブル経済とも足並みをそろえて進行したこれらの潮流はときにポストモダンとも形容され、趣味や消費が多様化したとされる現在のわたしたちの生活にも通奏底音として流れこんでいます。

日比野克彦(1958年–)は、そのような80年代の雰囲気が生んだアーティストのひとりです。同時代のニューヨークで活躍したジャン=ミシェル・バスキアやキース・ヘリングにも比せられる躍動的なダンボール絵画で注目を集めた日比野は、国際的に息づいていた「ストリートの感性」を日本で美術の文脈に落としこんだ最初の作家と考えることもできます。さらに桜木町東横線高架下に壁画をかいていたロコ・サトシや、レゲエ音楽シーンでライブペインティングを開始するカッズ・ミイダの登場など、しばしば見落とされがちですが、80年代はのちに「ストリートの感性」へと連なっていく視覚表現の胎動期でした。当時はまだ商業イラストレーションの色も強く、ストリートという言葉が特定の像を結ぶほど一般性を獲得していなかったことを踏まえればこれらの先達を「ストリートがストリートになる前の、漠然とストリート的なもの」として捉えなおすこともできます。

*

90年代にはいると、日本ではそのような「ストリートの感性」が美術からは少しずつ遠のいていきました。それはむしろグラフィティという独自のコミュニティとして――的なものではなく――はっきり自律した輪郭をもつに至り、2000年前後には雑誌スタジオボイスや裏原宿のファッション文化とも呼応します。また日本独自のライブペインティングの動向がそこに並走するなど「ストリートの感性」はサブカルチャーのなかに主要な位置を占めるようになるのです。この頃にロコ・サトシらの壁画からエアロゾルのグラフィティへとかき換えられていく桜木町の風景もまたそれを物語るでしょう。それは「ストリート的なもの」が「ストリート文化(カルチャー)」として様式化されていくプロセスでもあり、それに対する美術からのほぼ唯一の応答、あるいは帰結として窪田研二のキュレーションによるX-COLORグラフィティ  in Japan』展(2005年、水戸芸術館現代美術センター)が挙げられます。

この一連のプロセスが結果として、美術の制度性とそれに抵抗するストリート文化という対立の図式を描きだしていったこともまた確認しておく必要があります。2000年以降にカルチュラル・スタディーズの文脈でこの図式が前景化されると、「ストリートからの抵抗(レジスタンス)」という旧型の物語がたちまち呼び戻され、もともとグラフィティ文化とは異なる出自をもち新宿駅のダンボールペインティングで知られる武盾一郎1968年–)や、常に話題をさらう英国のバンクシーなども含め「ストリートの感性」を文化左翼的な視座からまとめる論調が一部で強まります。しかしバンクシーの実践は素朴に反体制的なものではなく、濃密な美学をふんだんに含んでいますし、また武のダンボールペインティングは公共空間におけるゲリラ的ジェスチャーとしてだけではなく、日比野のそれと結びつくようなヴィジュアルアートの文脈に置きなおして考えることもできます。現在の武が、本来やりたかったという緻密なドローイング作品の制作に集中していることからもそれは伺えるでしょう。

 他方で90年代以降の日本美術の本流においては、オルタナティブとしてのサブカルチャーという言葉はむしろ、漫画やアニメ、近年ではピクシブといったドメスティックな事象を指す傾向が顕著になっていきました。その起源には特撮やプラモデル、漫画やアニメを美術の対象として論じた雑誌・美術手帖の特集「ポップ/ネオポップ」(1992年3月号)があります。この文脈はしばらく支配的に作用し、たとえば天明屋尚(1966年–)はグラフィティを絵画のモチーフとして採用する稀な作家ですが、あくまでヤンキーやコギャル、入れ墨、大和絵などのサブカルチャー化された日本的アイコンの枠組みのなかにそれを並置します。あるいはバリー・マッギーとの交流も深く、落書きの作法を取りいれながら制作をしてきた奈良美智(1959年–)のような作家でさえ、これまで「カワイイ」や「幼児性」という日本的なキーワードでのみ語られてきてしまいました。しかし奈良作品の根底に、より普遍的な 落書き(グラフィティ)の初源性」が透けて見えるのもまた事実です。

*

では、2012年現在に目を転じるとどうでしょう。国際的にはここ数年、テートモダンやカルティエ現代美術財団、ロサンゼルス現代美術館などをはじめとする世界の主要美術館がストリートアートをテーマにした大規模展覧会をおこなっています。日本ではそのような大きな動向にまでは到達していないものの、美術かサブカルチャーかという図式的な対立を飛び越えたところで、グラフィティやストリートアート、ライブペインティングなどの影響を独自に咀嚼しながらユニークな表現活動をおこなう若い世代の作家がふたたび増えてきています。また建築や都市論、社会学や文化批評の現場でこれらのテーマに対する関心が高まりつつあることも見逃せません。

ここ十数年の急速な様式化がときに硬直した印象をもたらす「ストリートの文化」を横目でにらみつつ、あいまいで断片的な、だからこそ個別の仕方で立ち上がる複数化した「ストリートの感性」。それは、かつてのバスキアや日比野が体現した「ストリートがストリートになる前の、ストリート的なもの」とどこかで共振するかのようです。ただし現在の「ストリートの感性」がこれまでに比べ、きわめて複雑で広大な文脈や方法論を内包しているという点が重要な差異として直ちに指摘されます。いまや美術とストリートの関係は新表現主義やポップアートといった既存のトレンドに回収された80年代とも、あるいはサブカルチャー枠や反体制の物語へとコミュニティ単位で組みこまれていった90年代以降の姿とも遠いところで、作家ごとのユニークな営みの核においてバラバラの輪郭としてこそ見出されるべきものなのです。

路上の真ん中で大文字のストリートを叫ぶのでも、美術家としてスタジオから路上を眺める傍観者にとどまるのでもなく、むしろ路傍(ロードサイド)に立ちながら、それぞれの作家性(コア)において美術とストリートの輪郭をそれぞれ複数化(バラバラに)していくこと――本流(メインストリーム)に対する亜流(オルタナティブ)はときに本流の強化へと反転しうることを経験的に知る作家にとって、そのような「サイドコア」の探求こそがいまや急務としてあります。本展は、ポストモダン以降の日本美術における「ストリートの感性」の系譜にひとつのサイドステップを踏むことで、そこに補助線を引きつつもただ収斂するわけではない、各作家の多様かつ意欲的な取り組みを紹介する場として組織されています。またそれは世界同時多発的(グローバル)なストリートアートのムーブメントに同期しつつも、それが複数的(バラバラ)に散逸していく先で、日本というローカルな(コア)を起動するものでもあるのです。

(大山エンリコイサム)

展示資料 CHINO×アオピー×キース・ヘリング


今回の展示では日本のヒップホップシーン黎明期から活躍する、
CHINOさんの協力により、キース・ヘリングがドローイングをした
Tシャツとジャージを展示いたします。

1988年1月、代々木公園歩行者天国でCHINOとアオピーを含むダンスクルーが
ブレイクダンス中、来日していたキース・ヘリングが彼らのダンスをモチーフに、
歩道にチョークでライヴドローイングを行い、ダンサーの衣服にもドローイングを
施しました。

今回展示するのは、このとき同じダンスチームであった、CHINOさんとアオピーさんの
Tシャツとジャージです。まさにヒップホップとストリートアート黎明期を象徴する
貴重な資料となっております。
________________________________________

資料提供者紹介


CHINO

1984年、日本のHIP-HOP創成期から活動を開始、多数のダンスコンテストで受賞し、
世界 No1  HIP-HOP  TEAM『Rock Steady Crew』のメンバーとして世界を舞台に活動。
帰国後、数々の有名アーティストへの振付け、演出、音楽制作等ダンス以外でも多岐
にわたって活躍。日本にHIP-HOPカルチャーを根付かせた一人である。


アオピー

80年代中頃より原宿歩行者天国でブレイクダンスを始める。現在も毎年夏に開催される
B-BOY PARK等を通じヒップホップとしての活動を行っている。


オープニング ゲストDJ紹介


8月17日(金曜日)19時〜21時のオープニングでは、

株式会社urbanforce様の協力により、ゲストDJ2名のプレーを
お楽しみいただけます!












株式会社urbanforceはヒップホップをメインとしたイベント運営を
主な活動としながら、デザインワークやアーティストの
プロデュースまでおこなう、ヒップホップを支える会社です。
今回は同社の面々が展示会の意思に賛同し、
協力してくださることになりました。ありがとうございます.

ゲストDJのプロフィールは以下より

_____________________________________

DJ IKU(ディージェイ イク)


世界中で開催されているスクラッチ、パーティロックDJの大会、



「Red Bull Thre3Style DJ  BATTLE」、「Red BullStreet Style」にて日本人初
の2連覇を果たし、2010年にフランス・パリで行われた
「Red Bull THRE3STYLE DJ BATTLE WORLD FINAL」には、
アジア圏で唯一の日本人として世界大会に出場。
世界的に有名なDJ JAZZY JEFFをはじめ、スクラッチの神様と言われる
 DJ Q- ‐BERTからも高い評価を受け、ゴールドパネルのミキサーを手渡される。

http://iku.urbanforce.jp/

http://www.myspace.com/djiku
http://www.facebook.com/dj.iku
http://twitter.com/DJIKU


_____________________________________

DJ KRUSHER SATO(ディージェイ クラッシャーサトー)


熊本で開催されている九州のDJ達の接戦の場である、

MONSTER DJ BATTLE VOLUME, 11にて優勝。
九州全土のクラブシーンを盛り上げる若手DJのホープ。
今回のオープニングでも、トリッキーなテクニックを披露してくださいます。

http://ameblo.jp/walther87/

http://www.facebook.com/profile.php?id=100002496087188&v=info
http://twitter.com/#!/djkrushersato
http://mixi.jp/show_profile.pl?id=10926497&from=navi
http://soundcloud.com/dj-krushersato

_____________________________________

トークショー概要


トークショータイトル: ポストモダン以降の日本の美術と「ストリートの感性」

トークゲスト: 大山エンリコイサム(アーティスト) 窪田研二(キュレーター)
                             村山悟郎(アーティスト)※名前順
日時: 2012年8月19日(日) 18時〜19時30分
場所: BA-TSU ART GALLERY
              東京都渋谷区神田前5-11-5 B1F
定員: 先着40名程度
概要: 
本企画は“サイドコア –日本の美術と「ストリートの感性」”の関連イベントです。
キュレーターの窪田研二をゲストに迎え、参加作家の大山エンリコイサムと村山悟郎が
“ポストモダン以降の日本の美術と「ストリートの感性」”をテーマに、
90年代以降の日本のアーティスト達の多様な表現の取り組みを、
ストリートという言葉をキーワードに考察します.













窪田研二 Kubota Kenji (インディペンデントキュレーター)
1965年東京生まれ、上野の森美術館、水戸芸術館現代美術センター学芸員を経て2006年より独立。KENJI KUBOTA ART OFFICE代表。2005年水戸芸術館で開催された、日本のグラフィティ・カルチャーを紹介する国内初の大規模な展覧会「X-COLOR/グラフィティ in Japan」、「六本木クロッシング2010」、「Twist & Shout」キュレーション等を東京、シンガポールを拠点に手がける。
_________________________________________












村山悟郎 Murayama Goro(アーティスト)
1983年東京生まれ、2011年チェルシーカレッジ, MA ファインアートコース(交換留学)、2012年東京芸術大学 美術研究科絵画専攻修了。主な展覧会に、「MOTコレクション・MOTで見る夢」 東京都現代美術館(2009)、shiseido art egg vol.4「絵画的主体の再魔術化」資生堂ギャラリー(2010)、「TRANS COMPLEX - 情報技術時代の絵画」京都芸術センター(2011)、成層圏vol.6「私のゆくえ」ギャラリーαM(2011)。
___________________________________________________________________________________

大山エンリコイサム Oyama Enrico Isamu Letter
1983年、イタリア人の父と日本人の母のもと東京に生まれる。慶應義塾大学卒業後、東京芸術大学大学院修了。「Quick Turn Structure(急旋回構造)」という独特のモチーフを軸に、ペインティングやインスタレーション、壁画などの作品を制作・発表する。また現代美術とストリートアートを横断する視点から、論文執筆やシンポジウムへの参加も並行して行なう。2011年秋のパリ・コレクションではコム デ ギャルソンにアートワークを提供するなど積極的に活動の幅を広げている